“あなたのオレンジタウンストーリー”

アルビレックス新潟サポーターズマガジン『LARANJA AZUL(ラランジャ・アズール)』誌上で募集した、アルビサポーターのリアルな「オレンジタウンストーリー」を掲載します!!サポーターの皆さん、投稿ありがとうございました!!

※投稿の一部は、発売中の単行本の巻末にも収録されています。尚、掲載にあたり投稿内容を一部編集・修正いたしました。

あるくま 40代女性

10年第12節・山形戦。この試合は今までにない特別な気分で迎えた。南アフリカで開催されるFIFAワールドカップ日本代表に選出された矢野貴章選手の、大会前の「壮行試合」だった。代表選出は私たちにとってもサプライズだった。貴章選手がチームのために献身的に走れる選手なのは良く知っているけれど、今シーズンはまだノーゴールだ。ノーゴールでワールドカップに出場するFWなんて聞いたことがない。でも、実直な彼の働きをきちんと見てくれる人たちがいた。それが嬉しくて夢のような気分だった。「新潟を代表して戦ってきたい」とインタビューで答える姿も、入団当初とは見違えるように頼もしく、誇らしかった。試合は前半に山形の宮沢選手のゴールで先制されてしまう。けれどそれすらも、この日は元・新潟の選手からのエールのように感じられた。「不思議と負ける気がしない」という珍しい感覚。その予感は的中し、前半のうちにアルビはマルシオ選手、本間勲選手のゴールで逆転に成功する。「やっぱり!」と思うと同時に「なんとか貴章、ゴールを決めて!」と祈るように試合を見つめた。ゴールを決めて、胸を張って南アフリカに旅立ってほしい。そんな気持ちは他の選手も持っていたのか、後半は貴章選手へ数えきれないくらいパスが出された。ずっと一緒に過ごしてきた永田選手からのロングフィード。マルシオからの絶妙なパス。ヨンチョル選手からのプレゼントのようなゴール前のパス。「決めて、貴章!」つい叫んでしまうけれど、ことごとく決まらない。気持ちは痛いくらい伝わってくる。でもどうしてもゴールに届かない。「もう、仕方ないなぁ……」悔しいながらも、少し涙を流して私は笑っていた。点取り屋じゃないかもしれない。それでも、必死で何度でも食らいつく。これが私たちの愛する貴章選手だ。試合は3対1でタイムアップとなり、結局貴章選手はゴールを決められなかった。でも清々しい気分になったのは、ただこの試合に勝ったからだけではない。チームメイトやサポーターの想いを背負って、彼は南アフリカの地でどんなプレーを見せてくれるだろう。まだ見ぬ舞台への期待に胸が高鳴り、この試合は私の忘れられない試合になった。

※単行本掲載